昔、富士山と八ヶ岳で丈比べの争いをした。富士山は「何といっても、俺が三国一だ」と威張った。八ヶ岳は八ヶ岳で「近くの山なんか、仲間にもならん。富士山だって俺の肩くらいだ」と言い争った。そこで神様に頼んで、どちらが高いか、決めてもらう事になった。神様は、富士山の頂上から、八ヶ岳の頂上まで、一枚の板を平に削って渡し、真ん中に水を流してみた。そうすると、水は富士山の方へ流れて来た。富士山は「何の、いまいましい。こんなわけはない。何か、八ヶ岳が、ごまかしをしているに違いない」といって、急いで八ヶ岳へ行ってみると、頂上へ馬のくつを一つのせて、その上に板を渡していた。富士山は大変怒って、馬のくつを蹴とばした。その時、はずみをくって八ヶ岳の頂上は八つに割れてしまった。それで八ヶ岳の頂上は、八つの峰に分かれている。(中込松彌「古関伝承集」元文のまま)
この話をガイドの際には、アレンジして、板の上の水が富士山の方向に流れてくるまでは同じ話で、自分の方に流れてくる水を見て、富士山が思わず「やっぱり、奴が高い!!(やつがたけえ!!)」(笑)