◆天然の火山洞窟を体験できるネイチャーツーリズム
「青木ケ原樹海・洞窟探検ミステリーコース」
今から約1200年前に流れ出た
溶岩台地の上に広がる
青木ケ原樹海と氷の世界が広がる
天然洞窟を探検。
ブナやミズナラの原生林の散策も楽しい
富士山麓の人気ツアーコースを歩く。
樹海に口を開ける天然洞窟へ
冨士エコツアー・サービスの「青木ケ原樹海・洞窟探検ミステリーコース」は、観光洞窟では味わえない天然の火山洞窟探検と、ブナやミズナラの原生林の散策が楽しめる人気のコース。「道の駅なるさわ」がこのコースの集合場所だが、富士五湖周辺のホテルや富士急行の河口湖駅でもツアーの送迎車がピックアップしてくれる。
敷地内に富士山博物館がある「道の駅なるさわ」で、ガイドさんから青木ケ原溶岩流や、その上に広がる樹海、溶岩樹形など、青木ケ原樹海周辺の地形や自然について解説を受け、車で青木ケ原樹海の入り口へ移動して樹海の中へ向かう。
「ほら、溶岩の磁力で北を指す針がずれてしまいますね」と持参した方位磁石を地面に近づけるガイドさん。「樹海の森はツガとヒノキの単調な森で周囲を見渡しても同じ風景。だから樹海の中に入り込むと迷って出られなくなっさてしまうのですね」との解説に納得。さらに奇妙な形に変形した樹木などを観察しながら約30分で国の天然記念物の冨士風穴に到着した。
さっそく、木の梯子を使って降りた洞内は、一年を通して氷点下の氷の世界。ガイドさんの指示のもと、凍って滑りやすい足元に気を使いながら洞内を降りていくと、ヘッドランプの光の中に巨大なツララや、水滴によって下から氷の柱が伸びていく氷筍(ひょうじゅん)などが輝いて浮かびあがる。厚い氷床と高い天井の空間が広がるアイスパレスが今回の終点。全長200mの洞穴は、この先、一度降りると容易に登ってこられない氷の滑り台となって暗闇の中に消えている。
ブナとミズナラの巨木の森に遊ぶ
洞穴の地底探索を終えて地上に戻り、再び青木ケ原樹海の中を歩いて大室山の山麓へ。暗い針葉樹の森を抜けると、ブナやミズナラなどの広葉樹の森が広がった。ここで、ガイドさんから手渡された飲み物とお弁当を開いてのランチタイム。溢れる陽光と山の木々に囲まれて味わうお弁当は格別だ。
食後は、森の樹木が発するフィトンチッドに包まれながら広葉樹の森に遊ぶ。聴診器を幹に当てて聞く樹木の給水の音。リスの食卓と呼ばれる横たわる木の幹に残された松ぼっくりの食べ残し。日本のキウイフルーツと呼ばれるサルナシや山ブドウの蔦の違い。秋になると甘いキャラメルの香りがするカツラの木。そして、隆々としたコブが印象的な樹齢400年のブナやミズナラの巨木。
ガイドさんの解説を聞きながら歩く森の自然は、個人の山歩きでは見つけられない、自然のお宝に満ちていた。