・・・樹海とはよく言ったもので、葉の茂る頂上が海面なら、森の中は青い海中を連想させる。霧の日などは細く伸びた木が海草のようにゆらゆら揺れている。
あるときは古生代の生き物が生活しているようにも見える。突然訳のわからない恐怖と楽しさが同居しているのが樹海である。今では私も彼らの仲間入りをさせてもらっている。私にとって樹海は生きる先生であり、楽園でもある。 (富士山の写真家・大山行男の写真集「富士」より)